医療法人瑛幸会 ひで歯科クリニック様

GEMBA Noteの業務改革がスタッフのデジタル力育成に繋がる
自らIT化発想する力で変化に積極的に

ひで歯科クリニック(山口県山口市)は、チェア10台、スタッフ23名(歯科医師5名、衛生士・助手18名)規模の総合歯科です。2019年3月、地方ではまだ数少ない完全個室診療に対応する新クリニックの開設に伴い、GEMBA Note for Businessでカルテをデジタル化し、業務改善に繋げています。導入から2年、効率向上はもちろんのこと、スタッフ自身のデジタル力の育成に繋がっているという同院にお話を伺います。

※MetaMoJi Dental eNote®は、GEMBA Note for Businessを基に、歯科医師様向けに機能拡張を行った製品です。
※医療法人瑛幸会 ひで歯科クリニック様では、取材当時は、GEMBA Note for Businessを利用しています。

新クリニック開設に合わせカルテをデジタル化
同院では、1日の患者数が70-90人と多くカルテの量が膨大であり、カルテ以外の資料も含めてシンプルに使えるツールの必要性を感じていました。また新しいクリニックが2階建であることから、書類の移動を極力減らしたいと考えていました。 松本院長が大学卒業後に勤務した歯科医院は2万を超える膨大なカルテがある大規模な歯科医院で、紙カルテの扱いに苦労した経験がありました。先輩の歯科医院でGEMBA Noteを運用開始した事例を聞いた際「電子化するなら早い方がいい」と、新クリニックの開設に合わせてGEMBA Noteでのカルテのデジタル化に踏み切りました。現在、3300人の患者の約8割のカルテのデジタル化が完了しています。
「最初は紙に書いた方が安心するスタッフも多く、タブレットになることへの抵抗感があったようだ。しかしそれも一時的なもので今ではすっかり変わった」 GEMBANote導入による変化はすぐに現れ「以前は翌日予約の患者様のカルテを揃えるのに毎日30分程度かかっていた前日準備の作業がなくなった」と松本院長は当時を振り返ります。
院長・松本英紀氏
スタッフのリーダーである歯科衛生士の山本氏は「導入して操作に慣れるようになるまで2週間くらい。徐々に使う機能が増えていき、1ヶ月ほどでパート勤務のスタッフも含めてすっかり馴染み、使い方で困って聞かれたりすることもない」「診察室の机の上がiPadだけになった。以前は紙カルテや筆記具を置いていたが、清潔を確保しながらカルテが書きやすい」「資料もカルテの中に取り込んだりできるので、診療自体が非常に回しやすくなった」「過去のカルテのスキャンは大変だったが、今ではGEMBA Noteなしでは仕事にならない」と言います。
歯科衛生士・山本彩佳氏
診察室に入る前から診察は始まっている
患者カルテ用のシェアノートをテンプレート化し、患者のIDと名前をシェアノートの名前にして保存・管理しています。顔や歯のスタンプをアイテムとして登録しており、ポンと押して赤丸をするだけで使うことができ便利になりました。 問診票もGEMBA Note化しています。問診票はシェアノートになっており、前半に重要事項をまとめているので、書き終わるのを待つ必要もなく、診察室に入る前から記入中の内容を確認することができます。
シェアノートになっている問診票は、記入中にも内容を確認できる。
問診票を元に患者様に口頭で確認するカウンセリングシートには、必要事項がきちんとヒアリングできるよう、スタッフへの注意事項が細かく記載されている。
AppleTVで繋いだ大型モニターにカルテを表示したり、重要な説明を行う際に録音して残せるのも便利な点です。これまでは説明内容をカルテに書き込む作業に取られていた時間がなくなりました。問診票をiPadにペンで記入したり、大きなモニターに表示されたカルテを見ながら説明を聞いたり、契約書にサインをしたりといった環境に、患者様にも「新しくてすごい、わかりやすい」と好評です。
iPadの画面で拡大しながら患者様に説明。さらに大きなモニターに繋いで説明することもある。文字を見ながら説明が聞けるので理解しやすいと好評だ。
カルテのページをめくる時間も減らしたい
GEMBA Noteでのカルテの利用を続けるうち、ページを切り替えることさえ削減したいと感じた同院では、自由ページをベースに1枚の大きなメインカルテ化を進めています。1枚のページ(イメージとしてはA0かA1)の中に全ての情報を記入して、何日分かが貼り付いていている中から必要な部分を拡大して使えるのでとても便利だと言います。
<カルテの例>
一箇所にまとめてあることで治療の結果現在どのような状況にあるか、が一目瞭然。

カルテ以外にもGEMBA Noteで進むデジタル化

診察業務以外にも、クリニックではカンファレンス(朝礼・症例会議)や、連絡帳(日々の議題を書き込んでいく日報のようなもの)もGEMBA Noteを使用しています。この連絡帳は読んだ人が名前入りのスタンプを押すようになっているので、すぐ読まなくても記録が残っているのでいつでも見ることができ、院内スタッフ間での情報共有に役立っています。

 クリニックでは、本の貸し出し管理やマニュアル作成の仕方など、診察以外の場面でも積極的にGEMBA Noteを使用しています。

<活用例>

【活用例】本の貸し出し管理

【活用例】マニュアル作成の使用法

 業務フローの設計からGEMBA Noteのテンプレートやアイテムの作成まで、同クリニックのICT化は歯科医院ICT化支援を専門とするコンサルティング会社と連携して取り組んでいます。これまでに作成したGEMBA Noteのテンプレートは30近く。困っている点を「こんな風にしたい」と現場が手書きしたものをベースに改修しながら運用しています。現場から要望を伝えると、全体への影響等を考慮した上でテンプレートが改修されるため、医師・スタッフは現場での自分の仕事に専念することができます。コンサルティング会社との打ち合わせは2ヶ月に1度ほどですが、GEMBA Noteで連絡帳を共有しているので、日々の課題は常に把握できている状態なので、実際に対面やリモートでの聞き取りもスムーズに行うことができます。

 そして、これまでは診察室に1台のiPadでしたが、2021年からはスタッフも含めて全員が1人1台iPadの環境を実現します。自分がその日に担当するカルテを揃えておいたり、カンファレンスや、連絡帳(日報)にも気づいたことをすぐに書き留められるようになるでしょう。また、GEMBA Noteのツールボックス(よく使う機能やテンプレート類を登録しておき、さっと使うことができる)の利用が進むことも期待していると言います。これまでは画面を広く使いたいためか、ツールボックスを端に寄せてしまったり、表示自体を消しているケースも多く見受けられましたが、自分のiPadが固定され各自がツールボックスを活用できれば、これまで以上に業務効率アップ・改善に繋がるでしょう。

なお、GEMBA Noteへの要望としては、既存のシステム(レントゲン画像など)との連携と、よく使用する検索やタグなどの機能のステップの簡素化に期待していると言います。

「もっと便利になるんじゃない?」自らIT化発想するデジタル力を育成

 同院は、通常の医院が5年〜15年かけて経験する変化(移転拡大、ルール、新しいやり方など)を非常に短期間のうちに実行しています。実際にGEMBA Noteを導入するには、iPadの購入、ネットワークの費用などが必要であり、投資対効果を考えると躊躇するケースも多い中、非常にスピーディーに実践しています。これは、院長はじめスタッフが非常に若い点が奏功していると言えます。

 「業務をデジタル化すれば人件費が下がるということではない。費用対効果だけ考えると、紙のカルテのまま売上を上げることもできる。しかし、iPadで、GEMBA Noteでやることで、他のことも「iPadでできるんじゃないか?GEMBA Noteだと便利になるんじゃないか?」と思考するデジタル力を引き上げる効果(スタッフの成長)に繋がっている。この成長は新しいものへの取り組み姿勢や、やり遂げる力、ITを使った次へのチャレンジに繋がっていく。今後の土台が違ってくるだろう」スタッフが一丸となって取り組んだことで、「変化が当たり前なんだよ、という意識づけができてきている。変化って大変だけど重要なんだ、という意識を持ってもらえていると感じる」と、松本院長はGEMBA Noteを使った医院改革の効果を総括します。

 地方にはまだ珍しい完全個室診療の歯科医院として新築開設し、その3年後に新たに医院を建築して移転することをきっかけにカルテのデジタル化に舵を切ったひで歯科の挑戦は、業務の効率化だけでなくスタッフのデジタル力の育成にも繋がりました。医療技術に加え「デジタル力」を併せ持つスタッフと共に、今後も様々なチャレンジを続けて行くことでしょう。

 MetaMoJiは、今後もGEMBA Note・Dental eNote(※)で歯科医院様の業務のICT化を力強くサポートしてまいります。

(2020年12月取材)