医療法人社団ピュアスマイル 原田歯科クリニック

「いつか」を「今」にさせたDental eNote®
サブカルテのペーパレス化で得た時間ロス削減・患者サービス向上、さらにデータ資産の活用へ

 千葉市若葉区の原田歯科クリニックは、開業35年を迎える、虫歯治療からインプラントまで幅広い治療を提供する総合歯科医院です。毎日100名を超える患者の診療を、14台のチェア・30名のスタッフで対応する同院では、サブカルテ(患者情報や診療記録など)をDental eNote®で運用を始めました。Dental eNote®の採用を決めた原田幹夫理事長に、導入時及び現在の院内の状況をお伺いします。

成功の鉄則は成功事例を取り入れること

「開業35年、のべ患者数が2万を超え、受付周辺と地下のカルテ庫には溢れるほどのカルテがあった。受付スタッフは毎日約100人の患者のカルテを揃え、片付ける作業に多くの時間を取られていた。特に久しぶりの予約があると受付と地下のカルテ庫を行ったり来たりすることになる。治療後に正しい場所に戻せないこともあり、次に探すのが困難になる。カルテの出し入れはいくつもの時間のロスが生じる作業であるため、いつかカルテの電子化に取り組まなくてはいけないと考えていたが、具体的なやり方がわからずにいた」と当時を振り返ります。

Dental eNote®導入前の様子(左)受付裏カルテ棚。担当別のボックスに分類してカルテを準備していた(中)地下のカルテ庫。カルテや備品がギッシリ並んでいた(右)取り出し間違えたカルテの一時置き場まであった


ある時、歯科主催のセミナーでサブカルテのペーパレス化事例が紹介された。同じような規模のクリニックでの事例であり、「成功事例を取り入れるのが成功の鉄則。これならやってみよう」と直感した理事長は、デモを見た数日後には、ひとり1台のiPadにDental eNote®(30ライセンス)導入の意向を固め、すぐに体験版を使い始めました。「スタッフもサブカルテを探す、しまう、無くすことで苦労しており、時間のロスを痛感していたため、導入には前向きだった」と言います。

時間のロスを極限まで削減

移行作業は、院内に電子化チームを立ち上げて週に1度ミーティングで状況を確認しながら進めました。
問診票、治療記録、治療計画書など、業務に必要な書式はDental eNote®に標準で入っているものを使用しています。「標準で入っているそのまま、あるいは院内で少しカスタマイズしたら十分揃った」カスタマイズ作業は電子化チームの中で特に作業に向いているスタッフが担当しました。

直近のカルテと書式が整うとDental eNote®でのサブカルテ運用はすぐに軌道に乗りました。翌日の診療のカルテはiPadですぐに見ることができるので、その場でどの患者さんにどんな診療をするか確認できます。後にカルテ内容を入力したらその場でクラウドにアップロードするのでバックアップする必要もありません。これまでカルテの出し入れにかかっていた時間がゼロになり、電話応対や患者対応に充てることができるようになりました。患者と医師の橋渡しの役割を持つトリートメントコーディネーターの仕事を受け持つスタッフは、これまで以上に患者さんの話の聞き取りに時間を割けるようになり、患者サービスが向上していると言います。

移行作業の中で、特に時間がかかるスキャン作業は長時間残業にならないよう余裕を持ってスケジューリング。過去10年分・約1万のカルテのeNote化(スキャンしてDental eNote®に取り込む作業)は6ヶ月以内という目標を設定して志願者を募って実行しました。院内はDental eNote®で一変。受付裏のカルテ棚はカラっぽに。地下のカルテ庫には別のものが収納できるようになりました。もちろんしばらくぶりの患者さんの予約が入っても、カルテを探して走り回ることはありません。

Dental eNote®導入後 カルテが姿を消した(左)受付裏(中)地下カルテ庫。現在は備品を収納しても余裕がある。
美しく読みやすいカルテに
 同院が抱えていたもうひとつの問題点は、読みにくい字のカルテの存在でした。「歯科医が書いた内容を確認するのも、衛生士や助手は毎度のことで聞きにくく類推して判断することも多かった。Dental eNote®導入以後、テキストに変換することにし、カルテが美しく読みやすくなった。文字入力はキーボードかフリック入力がほとんど。普段からスマホを使っているためフリック入力が非常に速く、医師に代わりスタッフがカルテに書き込むような場合も時差なく記入できる。歯式をマルで囲んで記入したり、大事なことを欄外に書くような場合には目立つようにわざと手書きで書く場面もあるが、ApplePencilも持っているが持ち替える手間や、ペン独自の使用感の好みなどもあり、その場合も指で書いてしまうことが多い」と言います。

また、誰が記入したかが明確になるのもデジタル化のメリットです。これまではコメントに加えて押印したり、筆跡で判断していましたが、Dental eNote®ならログインした人のスタンプを簡単にポンと押すことも可能です。

(左)導入前、フォーム類はコピーして引き出しにストック。ここから取り出してカルテに追加して使っていた
(右)iPadの中のテンプレートを選ぶだけに

(左)導入前の紙カルテ。内容を読み取るのが難しいことも多かった
(右)導入後、カルテは変換することとし、読みやすくなった。欄外に写真を貼り付けるのも簡単

(左)次回予約指示書。医師が次の予約の指示を記入。内容が読めないと正しい予約が取れない
(右)Dental eNote®導入後。標準搭載のテンプレートを使用して、カスタマイズした
デジタル化はデータ資産活用した治療に繋がる基盤
同院では、以前から複数台のiPadを配置し、画像管理アプリ等を自由に使えるようにしていましたが、Dental eNote®導入をきっかけにひとり一台iPadを持つようになり、ミーティングの際に書き込み内容を共有できるシェア機能が非常に便利だと言います。また、Dental eNote®だけでなく、診察中に使用する資料をクラウドストレージに置いたり、チャットアプリなどの汎用アプリも積極的に使用するなど、常に自分の手にあるiPadに仕事が集約されてきています。

また、iPadさえあればいつでもどこからでもカルテを見て判断することができるため、学会等で不在時に理事長の指示を仰ぎたいケースでも、素早く正確な指示を出すことができる環境が整いました。
*iPad(Dental eNote®)の院外持ち出しは理事長に限定しています。
Dental eNote®で、あらゆる情報が紐づけられてiPadの中にある。治療中も、打ち合わせも、勉強会も。

「しかし、デジタル化そのものが目的ではない」と理事長は言います。Dental eNote®でサブカルテの中にすべてが紐づいて保存できるようになり、仕事の省力化が進みました。その過程でデジタル化されたデータは既に1万を超える規模で蓄積されており、今度は蓄積データを活かすフェーズが始まろうとしています。「例えば、カルテにインプラント、歯周病、などいくつかの付箋をつけている。これからはこの付箋を使って絞り込んだり、といった使い方をしていくようになるだろう」デジタル化はデータ資産を治療に生かすための基盤であると言います。

そして「以前はいくつもの道具や作業が必要だったことも、今はiPadひとつでできるようになった。しかしこれらのツールもまた、今はまだ存在しないようなものが出てきて、きっとそれを使っていかなくてはならなくなるだろう」と言います。Dental eNote®でカルテのペーパーレス化から業務DX化を進めることは、原田歯科にとって自然な流れでした。これから起こる様々な変化にも、スタッフと一丸となって力強く前進していくでしょう。

MetaMoJiは、Dental eNote®をはじめとする製品群で、歯科業界をはじめあらゆる業界の業務DXをサポートしてまいります。



お話をうかがった、原田歯科クリニック・原田幹夫理事長


(2022年8月取材)