営業が顧客と打ち合わせた内容をリアルタイムで設計や他部門と共有。
迅速な顧客対応の実現と生産性の劇的な向上による働き方改革を実現
戸建注文住宅のヘーベルハウスや、アパート経営・土地活用のへーベルメゾンで知られる旭化成ホームズ株式会社には、全国に9つの営業本部があります。そのうちの1つ、千葉・茨城営業本部は、ほかの本部に先駆けてMetaMoJi Share for Business(以下「MetaMoJi Share」)を導入し、業務改革の成果をあげました。この成功を受けて全社に5,000ライセンスのMetaMoJi Shareが導入され、働き方改革や基幹システムとの連携に活かされることになりました。
※「MetaMoJi Share for Business」は、「MetaMoJi Share for Telework」と同等の機能を備えた大規模法人向けの製品です。
MetaMoJi Shareの導入で働き方改革を実現した旭化成ホームズ株式会社様のインタビュー動画はこちら
2018年4月、旭化成ホームズの千葉・茨城営業本部は、業務改革に関する全社コンペで第1位にあたる最優秀賞を受賞しました。応募時の題名は「『いつでも・どこでも・誰でも』千葉・茨城営業本部が提案する働き方改革」。つまり時間、場所、人にとらわれない仕事のスタイルを目指そうというものです。
千葉・茨城営業本部のシステムを管理している同本部 技術部技術二課 課長の浅川修光氏はコンペの受賞について「受注成績を上げていることやペーパーレス化によるコスト削減などもありますが、高く評価されたのは営業本部全員が同じ方向を向いていることだと思います」と語ります。情報共有やペーパーレス化、そして超過勤務や無理な移動といった社員の負担の軽減を実現するために、営業部門と設計部門の連携など、営業本部全体で業務改革に取り組んでいるのです。この取り組みにMetaMoJi Shareが活用されています。
千葉・茨城営業本部では営業、設計、インテリアアドバイザー、事務など、ほぼ全員にあたる200人以上がiPadを使い、そのすべてのiPadにMetaMoJi Shareがインストールされています。
MetaMoJi Shareの導入を発案した同本部 京葉支店 営業課の藤原直人氏は、動機をこう語ります。「MetaMoJi Shareを導入する前に、一部の社員がiPad ProでMetaMoJi Noteを使い、Apple PencilでPDFなどに書き込みをしていましたが、さらにオンラインで図面の共有をしたいと考えました」
営業部門の仕事場として大きな割合を占めるのは、住宅展示場です。来場した顧客と打ち合わせた内容を踏まえて、設計部門に図面の作成を依頼します。紙の書類で依頼をするには、支店に戻らなくてはなりません。展示場の営業終了後に戻るとなれば、当然、夜になってしまいます。移動時間もかかるし、時間外勤務も増えてしまう。この無駄や負担をなくしたいというのが、藤原氏の考えでした 。
MetaMoJi Shareを使えば、打ち合わせの内容を営業がその場で書き込んでMetaMoJi Shareで共有すると、それがそのまま設計への依頼となります。藤原氏は「図面依頼をした上で直帰できるので、私たちのチームは、みんな早く帰れるようになりました。 自分自身も、子どもと一緒に食事をしたりお風呂に入ったりすることが増えました」と笑顔で語ります。「移動時間などのロスが減った分、営業が接客にあたる時間が増えるなどの効果が見られます」(浅川氏)とのことで、顧客にとってのメリットも大きいようです。
千葉・茨城営業本部でのMetaMoJi Shareの用途は、営業から設計への図面依頼だけではありません。まず部門を問わず、会議がペーパーレス化され、紙の資料のコストや準備の手間がかからなくなりました。
営業部門では、顧客との打ち合わせをMetaMoJi Shareの録音機能を使って確認のために記録することもあるそうです。また、営業スキルを上げるためのロールプレイを、従来の集合研修に代えてMetaMoJi ShareとSkypeを使って実施しています。
藤原氏は、ゆくゆくはMetaMoJi Shareで図面などを顧客と共有し、会わなくても打ち合わせができるようにしたいと今後の構想を語ります。「お客様と会うことはもちろん大切ですが、会えない場合もあります。たとえば極端な例では、海外在住のお客様が帰国後に住む家を建てるといったケースもあります。また、営業担当者がいないときに展示場を訪れたお客様にも、MetaMoJi Shareで資料をお見せしながら説明したり見積を作成したりできるようになるといいですね」(藤原氏)
営業からの図面依頼を受ける設計部門にも、MetaMoJi Shareを導入した効果が現れ始めています。紙を使った従来の方法は、営業部門だけでなく設計部門にとっても負担の大きいものだったのです。
住宅展示場では土日の打ち合わせが多く、営業からの大量の依頼が月曜日に集中します。千葉・茨城営業本部は土日が勤務日であるため、火曜と水曜が営業部門も設計部門も含めた全員の休日です。そのため、設計部門では時間のやりくりが難しく、火曜や水曜に休日出勤をせざるを得ない場合が散見されました。
しかし、MetaMoJi Shareを使うようになって、設計部門の業務の時間短縮が計れ、これまでのように休日出勤をすることが少なくなったというのです。
依頼を受ける側の千葉南支店 設計課 課長澤田克弥氏は、「営業の帰りを待たずに打ち合わせ内容が確認できることが、最大のメリットです。その都度依頼を確認できるので、次の仕事にすぐに入れる、あるいは準備にとりかかることができます。今はMetaMoJi Shareのない仕事は考えられません」と言います。
また、効果は図面の作成に関わる効率化だけではありません。設計部門ではこれまで品質を上げるために、紙の図面を設計者やインテリア・内装担当者の間で順番に回覧し、コメントなどを書き込んでいましたが、これをMetaMoJi Shareで順不同で書き込む方法に変更しました。各人が都合の良いタイミングで見られるため、回覧が止まってしまうといったことがありません。
また、お互いの書き込みをいつでも参照できます。MetaMoJi Shareを使う方法に変更してから、回覧の時間が短縮され、質も向上したそうです。新人の設計者の図面も同じ方法でチェックして、トレーニングしています。
さらに澤田氏は図面を承認する立場であるため、そこに至るまでの図面や書類を簡単にさかのぼって確認できることもMetaMoJi Shareのメリットとして挙げています。このような効果がすでに得られていることから、澤田氏は「今後はMetaMoJi Shareを設計のプランニングの段階から活用していきたい」との展望も持っているそうです。
情報システム部 業務IT化プロジェクトリーダーの谷健司氏は、MetaMoJi Shareも含めた業務のIT化、ペーパーレス化推進のプロジェクトの方向性について「異なる職種の間での連携がうまくとれていないことによる問題を改善して、働き方を改革しようとしています。具体的には、書類の一元管理と、依頼承認フローの改善の2点を目指しています」と語ります。
旭化成ホームズでは、「働き方改革のために現場の役に立つなら」とのトップの判断により、全社のほとんどの職種の社員に対しておよそ5,000台のiPadが導入されています。千葉・茨城営業本部での成果を受けて、この5,000台のiPadのすべてで2018年11月からMetaMoJi Shareを使うことになりました。
iPadが導入された当初は業務に利用できるアプリやサービスの提供までは至っていなかったそうです。働き方改革推進室 業務IT化プロジェクトの福島隼人氏が「どのような業務シーンにおいて、iPadが有効活用できるかを現場の社員にヒアリングするなど、社員が望むアプリやサービスを導入したいと考えました」と振り返るように、社員がそれぞれに使い方を模索してきました。
その中で谷氏は、iPadとApple Pencilを初めて使ったときに「ペン先が沈み込むようで、これなら紙と同じ感覚で手書きができる」と、紙の書類を置き換えられるという手応えを得たと言います。
千葉・茨城営業本部の業務改革メンバーからも同じように「iPadとApple Pencilに未来を感じた」との声があり、その書き心地の良さを活かせるMetaMoJi NoteやMetaMoJi Shareを使いたいとの相談がプロジェクトチームに寄せられました。
「働き方改革や業務改革には、何を変えるかというテーマ設定が必要です。これはトップダウンだけではうまくいかず、何を変えるかの答えは現場の社員が一番分かっており、全社に普及していくには、現場の成功事例が必要だと考えました。自ら働き方を変えていくと立ち上がった千葉・茨城営業本部と、働き方改革を全社に推進していきたい本社のプロジェクトチームとの考えが一致したので、MetaMoJi Shareの導入に関して千葉・茨城営業本部を支援することにしました」(福島氏)
その結果、千葉・茨城営業本部は前述のような業務改革を実現し、受注成績も向上したことから、MetaMoJi Shareの利用を全社に拡大することになりました。
情報システム部 業務IT化プロジェクトの湯澤良平氏は「弊社には成功した人に話を聞いたり勉強会を開催したりする文化があります。千葉・茨城営業本部の成果は他の本部から、取り組みについての問い合わせが多くあり、注目をあびました」と言います。
情報システム部 業務IT化プロジェクトの篠田紀行氏も「いつでもどこでも紙書類の制約を受けずに仕事ができる環境や、仕事を楽しめるようにやり方を変えたいという考えを千葉・茨城営業本部が体現したことが、全社導入に影響を与えました」と語ります。
湯澤氏と篠田氏も自ら業務でiPadとMetaMoJi Shareを使い、「社内の情報伝達がその場でできるので、パスを速く回せる」(湯澤氏)、「図面など、現場でのハンドリングがとても良い」(篠田氏)と効果を実感しています。福島氏は「紙の書類を電子ファイルに置き換え、iPad上で手書きした書類をすぐに共有できるので、MetaMoJi Shareは現場の業務にフィットしやすいと思います
全社導入の決定に関して谷氏は「営業本部によって仕事のやり方が異なると、人事異動の度に困ります。メモを取るという作業はどこでも共通なので、図面に手書きで書き込んで、それを共有できるMetaMoJi Shareが有効と考えました」と説明します。
旭化成ホームズでは、まずはMetaMoJi Shareを導入して書類のデジタル化、iPad上での手書き、書類の共有を全社で開始し、さらにその後、新たに構築する文書管理システムとMetaMoJi Shareを連携させる予定です。「API によって基幹システムと連携できるのも、MetaMoJi Shareを選んだ理由のひとつです。費用や期間の面からも、まず第一のステップとしてMetaMoJi Shareを導入し、その後で基幹システムと連携できるのは利点だと考えました」(谷氏)
全社での導入、基幹システムとの連携と、MetaMoJi Shareを活用した旭化成ホームズの働き方改革は進化を続けていきます。