歯科医院で重要なサブカルテを手書きの良さを生かしてデジタル化し、
業務改善や患者満足度の向上を実現

リーフ総合歯科(岐阜県土岐市)では2018年10月からiPadとGEMBA Note for Businessでサブカルテをデジタル化しました。紙の書類の良さは手書きで自由に記入できることですが、その良さはiPadとGEMBA Noteになっても変わりません。その上で、紙のサブカルテを棚から出し入れする毎日の負担など多くの課題が解決しています。
※MetaMoJi Dental eNote®は、GEMBA Note for Businessを基に、歯科医師様向けに機能拡張を行った製品です。
※医療法人LSC リーフ総合歯科様では、MetaMoJi Dental eNote®発売以前よりGEMBA Note for Businessをご活用いただいています。
「サブカルテは紙でなくてもいいのではないか」。リーフ総合歯科院長の藤本靖貴氏がそう考えたのが、iPadとGEMBA Noteを導入するきっかけでした。
それまでのサブカルテは、患者1人につき1つのクリアフォルダに入れ、バックヤードの棚に保管していました。予約した患者のクリアフォルダを探して取り出し、1日の診療が終わったら棚に戻す。毎日、その繰り返しです。「サブカルテの出し入れに時間や労力を取られるのはスタッフの負担が大きく、仕事の喜びも感じられません。デジタル化は働き方改革につながるかな、と考えました」(藤本氏)。
もちろん毎日の診療に伴う出し入れだけでなく、電話応対の際にすぐ参照できない、過去のコミュニケーションや治療歴を振り返るのが難しい、保管スペースが増え続けるといった問題もありました。
iPadとGEMBA Noteでサブカルテをデジタル化したことにより、出し入れの負担が解消しただけでなく、ほかにも多くの効果が上がっています。「もう紙のサブカルテには戻れませんね」と藤本氏は言います。事務長でマネージャーの木山亮太氏も「このサブカルテは当院にはなくてはならないものです」と話します。
サブカルテのデジタル化にはiPadとGEMBA Noteが最適と、リーフ総合歯科では判断しました。
サブカルテには記号などが多用され、患者と話しながら書くことも多いため、コンピュータのキーボードで入力するのは現実的ではありません。手書きしやすいことがまず重要なポイントで、これはGEMBA Noteの大きな利点です。
iPadなら待合室で患者と話をしながら記入するなど、どこへでも持ち歩いて使うことができます。治療時にサブカルテをアシスタントが医師に見せる際にも、紙が何枚も入ったフォルダから必要なものを探す手間などはなく、iPadを渡したり医師の方に向けたりするだけで済みます。

患者のサブカルテはGEMBA Note上で1人1ノート(※)になっています。患者が来院するとこのノートにページを追加します。GEMBA Noteでは追加した日付でページを自動で管理できるので、整理や後からの振り返りが容易です。自由記述欄が広いサブカルテのページのほか、口腔内写真や治療計画など必要なページのテンプレートを作ってGEMBA Noteに登録してあるので、使いたいページをすぐノートに追加できます。紙の書類と同様のテンプレートを作っておけば使いやすいといったメリットがあるため、「オリジナルのフォーマットを作れるのもいいですね」と木山氏は話します。
部位や歯式などサブカルテでよく使う図もあらかじめ登録してあります。紙にスタンプを押し、そこに手書きで書き込むのと同じ感覚で使うことができます。
※ノート…書類を綴じるバインダーのようなイメージ。多くのアプリの「ファイル」と同じように、1つのノートが1つのアイコンで表示されます。
デジタル化されても紙と変わることなく、スタッフは気軽に、自由に手書きで記入しています。「いつもはバスだけど今日は歩いてきましたよ」というように患者の発言がそのまま書かれていることもあります。患者の様子や細かいニュアンスまで記録でき、その後のコミュニケーションや満足度の向上に役立っているようです。
紙に手書きをしていると、書き進めるうちにスペースが足りなくなったとか、この内容は右のほうに書けばよかったといったことがよくあります。GEMBA Noteでは、すでに書いたものをペン先で囲んで選択しドラッグするだけでサイズ変更や移動ができます。結果として、見やすく、情報を共有しやすいサブカルテを残すことができます。

デジタル化したことで、課題であったサブカルテの出し入れの手間や時間は、ほぼゼロになりました。このことについてデンタルアシスタントの石岡多希氏は「以前はクリーンスタッフがカルテの出し入れに時間をとられていました。紙に書かれたものをサブカルテのページに切り貼りすることもありました。それがなくなった分、患者さんのための清潔な環境作りに時間を使うことができます」と語ります。木山氏も「医師にしかできないことやそれぞれの業務があり、歯科衛生士、アシスタントなどスタッフも同様です。デジタル化することで『仕事の棚卸し』ができ、本来の業務や患者さんとのコミュニケーションに使える時間が増えました」と言います。

いつでもどこにいても、また複数の人が同時にサブカルテを開けるようになったのも、大きなメリットです。「紙のサブカルテのフォルダは院内のどこか1か所にしか置いておくことができません。私たちはサブカルテを見て診療前の準備をしたいのですが、受付など別の場所にあるとすぐに見ることはできませんでした。電話でお問い合わせがあったときもそうですね。いつでもすぐに見られるようになって、ほんとうに助かっています」(石岡氏)。しかも以前は、慌てて別の場所に取りにいったときなどにうっかり置き忘れてしまうこともあったそうですが、そのようなトラブルはなくなりました。

治療計画を患者に説明、相談するときにも活用されています。「レントゲン写真などをページに貼り付け、書き込みをしながら説明できます。この治療方法はこのような流れ、別の方法だとこう、というように、矢印などを書きながら説明することもよくあります。患者さんからはわかりやすいと好評です。しかも患者さんから要望があれば、そのページをすぐにメールで送信できます。患者さんの満足度は上がっていると思います」(木山氏)。

iPadとGEMBA Noteは、サブカルテ以外にも活用され始めています。GEMBA Noteのページには動画を貼り付けることもできるので、石岡氏は業務の流れを撮影した動画入りのマニュアルを作成しました。誰でもいつでも参照できますが、特に2019年4月に加わった新人スタッフの研修に役立ったそうです。木山氏は、有給休暇の申請などスタッフ間の書類のやりとりにも今後GEMBA Noteを使っていきたいと語ります。
取材時点でチェアが5台、スタッフ10人だった同医院(旧院名:ふじもと歯科)は、2019年6月に市内の別の場所に移転し、リーフ総合歯科として新たなスタートを切りました。新しい医院はチェア10台、スタッフ20人と倍増する予定で、石岡氏が作成したマニュアルはさらに活躍しそうです。もちろん患者数も大幅な増加が見込まれるので、増え続けるサブカルテの整理と活用、そして充実したコミュニケーションと患者の満足度向上に、GEMBA Noteがさらに活用されていくことでしょう。
(2019年4月取材)
